熱サイクル

熱サイクル

実験番号:UE2060300

電動圧縮式ヒートポンプは,駆動用モーターを備える圧縮機と,凝縮器と,膨張弁と,蒸発器とで構成されています。その動作は,ヒートポンプの動作による,作動媒体の相転移を伴う周期的なプロセスに基づいています。また,作動媒体の相転移は,理想的には,作動媒体の圧縮,液化,減圧と蒸発の4つの過程に分解されます。理想的な周期的プロセスの動作係数の理論値は,モリエル図から読み取られる,比エンタルピーh1,h2,h3を使って計算できます。理想的な周期的プロセスにおける比エンタルピーh2,h3と,Δtの時間内に熱水容器に供給される熱量ΔQ2とを求めることにより,作動媒体のマスフロー(質量流量)の定量的な評価が可能になります。

実験の手順

  • 電動圧縮式ヒートポンプがどのように動作するかを確かめます。
  • 電動圧縮式ヒートポンプの動作に伴って発生する,周期的プロセスを定量的に調べます。
  • 圧縮式ヒートポンプを使って,圧力対エンタルピーの測定値を記録し,得られた圧力エンタルピー線図を解析します。

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エントロピー原理によるヒートポンプ効率の検討(PDF)

基本原理

電動圧縮式ヒートポンプは,駆動用モーターを備える圧縮機と,凝縮器と,膨張弁と,蒸発器とで構成されています。その動作は,ヒートポンプの動作による,作動媒体の相転移を伴う周期的なプロセスに基づいています。また,作動媒体の相転移は,理想的には,作動媒体の圧縮,液化,減圧と蒸発の4つの過程に分解されます。

一連のサイクルのうちの,圧縮過程では,気体の状態にある作動媒体が圧縮機によって吸引されて,エントロピーを変えずに(s1= s2)圧縮され,圧力がp1からp2に変化します。それに伴い,温度がT1からT2に上昇します(図1と2を参照)。単位質量当たりの力学的な圧縮仕事は, Δw= h2-h1となります。

凝縮器内で,作動媒体の温度がかなり下がって凝縮し,液体になります。その結果放出される熱量(余熱と凝縮に伴う潜熱)は,単位質量当たりで Δq2= h2-h3になります。この熱は,凝縮器の水槽の温度を上昇させます。

凝縮した作動媒体は,放出弁に達して,減圧されます(この過程に伴う力学的な仕事はありません)。この過程において,作動媒体の内部で働く分子間引力に抗してなされる仕事により,温度もまた低下します(ジュール・トムソン効果)。この間,エンタルピーは不変に保たれます(h4= h3)。

作動媒体が,蒸発器内の熱を吸収するにつれて,より多くの割合の作動媒体が蒸発します。これにより,蒸発器内の水槽の温度が低下します。その際に吸収される熱量は,単位質量当たりで Δq1= h1-h4になります。

作動媒体のモリエル図はしばしば,圧縮式ヒートポンプの周期的プロセスを表すのに用いられます。この図は,作動媒体の圧力 p 対比エンタルピーをグラフに表します。(エンタルピーは作動媒体の熱容量の尺度であり,一般的に,圧力とガス成分の増加に伴って増大します。)

同図ではさらに,等温線(温度 T が一定),等エントロピー線(エントロピーSが一定),および,液相にある作動媒体の相対的な質量比が示されます。作動媒体の凝縮相(液相)は,図2における気-液境界の左側領域に対応します。作動媒体は凝縮相の相境界の右側で,過熱蒸気の状態にあります。また,2つの相境界の間では,液相と気相の混合状態にあります。これらの2つの相境界が接する点が,臨界点になります。

上述の理想的なサイクルにおける,膨張弁が働く前後での圧力値p1とp2を測定し,さらに,圧縮機が作動して,膨張弁が働く前後での,温度T1とT3の値を測定することにより,作動媒体に対するモリエル図を描くことが可能になります。

実験装置の各要素は,銅管で接続された閉鎖系を構成し,その全体がボードに取り付けられています。装置構成の簡明さにより,各要素が,ヒートポンプのサイクルによって発生する,一連の相変化のそれぞれと対応づけられます。

蒸発器と凝縮器は,コイル状の銅管として作製されており,それらのそれぞれは,作動媒体が吸収あるいは発生する熱量を決めるための熱浴用に設置された,個別の水槽内に浸されます。2台の大きな圧力計は,2台の熱交換器内にある冷媒にかかる圧力を表示しています。2台のア ナログ温度計によって,2つの水槽内の温度を測ることができます。特別設計の測定端子が付いた温度センサーは,圧縮器と膨張弁の動作前の銅管内の温度を記録するのに用いられます。

理想的な周期的プロセスの動作係数の理論値は,モリエル図から読み取られる,比エンタルピー h1,h2,h3を使って計算できます:

(1)

理想的な周期的プロセスにおける比エンタルピーh2,h3と,Δtの時間内に熱水容器に供給される熱量ΔQ2とを求めることにより,作動媒体のマスフロー(質量流量)の定量的な評価が可能になります。

(2)

評価

温度T1と圧力p1の値が,モリエル図中の点1になります。作動媒体の圧縮過程に対応する等エントロピー線が,圧力p2が一 定の,横軸に平行な線と交わる点が,点2になります。気-液境界との交点が点3を決定するのに対して,圧力p4が一定となる,横軸に平行な線への垂線が,点4を決定します。

温度T3のさらなる測定により,ヒートポンプ内で生じる過程に対する,深い考察が可能になります。温度T3は,関連する圧力計の温度目盛りで読み取られる温度とは一致しません。この温度目盛りは,作動媒体の蒸気圧曲線に基づいて表示されています。したがって,膨張弁の動作前の作動媒体は,液体と気体の混合にはなっておらず,全部が液体になっていることを,測定結果が示すことになります。

参考資料

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