『3B月刊メールマガジン 3月号 』vol.164

2019年03月25日 (月曜日)

2019

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ピエール・ロバン症候群想定の幼児気管挿管シミュレーター

『3B月刊メールマガジン 3月号 』vol.164

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今月号の内容:

┌──【目次】──────────────────┐

1. 新製品のご案内
~AirSimピエール・ロバン~
2. 先生のコラム「時間の物差し」
~運動効果:機能のゆとり~
(一財)健康教育学研究所 所長
元帝京平成大学教授 竹内京子先生
3. 月刊学会情報
4. 編集後記
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1. 新製品のご案内 ~AirSimピエール・ロバン~
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■AirSim(エアシム)ピエール・ロバン

ピエール・ロバン連鎖/症候群の
幼児に対する気道管理技術の練習に
焦点を当てて開発されており、
高度なトレーニングを行えます。
エアウェイは耐久性が高く、
2万回の挿管練習に耐えることが
確認されています。

バッグマスク換気、声門上気道
器具の挿入、ビデオ喉頭鏡および
直視型喉頭鏡の使用、気管挿管、
両鼻への経鼻気管挿管を行えます。

/simulator/als/1021892.htm?mmail&m

┏▼お問合せはどうぞこちらへ
メール:mag_3b@3bs.jp
フリーダイヤル(ユーザー様専用)0120-300-056

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2. 先生のコラム
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「時間の物差し」

~運動効果:機能のゆとり~

(一財)健康教育学研究所 所長
元帝京平成大学教授
竹内京子先生

人には、なぜ「運動」が必要なのでしょうか。

いろいろな理由がありますが、循環の
生理が専門の先生の口を借りると、
「酸素運搬(含老廃物排出)能力を高め、
身体の機能に余裕(ゆとり)を持たせる
ため、すなわち「循環力」をつける
ためには、ある程度の運動が必要」
という事になります。

身体には潜在的に「ゆとり」を作る
能力がありますが、身体は、本来は
「怠け者」です。
「今」の生活に何も変化がなければ、
その環境の中での最小限の体力があれ
ばよい、という仕組みになっています。

良く言えば、非常に効率的かつ省エネ
で身体活動(生命活動)が行われている
わけです。しかし、それでは「今」の
状態からもっと体力を必要とされる
「有事」の際には何もできないことに
なります。

例えば、普段は立って座って移動は
歩くだけ、の生活に身体が適応して
しまっている場合のように、
「私は絶対に走らないぞ」という生活
をしている人が、急に電車に乗り遅れ
まいと走ろうとしても、瞬間的に走れ
るのは、無酸素運動のエネルギー使う
数秒ぐらいで、有酸素運動では長い
時間を走り切れるものではありません。

頭の中では「走って」いても、実際の
身体は「もがいている」だけ、という
状態になります。
これは、普段使っていない「筋」への
血流が最小限度になっているので、
想定外の運動負荷がかかっても急な
要請(血管拡張・毛細血管全開)には
なかなか応じられず、又エネルギー源
の蓄積も少ないであろうし、筋組織は
直ぐに酸欠・エネルギーの枯渇状態に
なってしまうからだと思っています。

このような状態に陥らないためには
電車に乗り遅れそう、などという
「有事」に合わせた体力を持てるよう、
日ごろの体力に「ゆとり」が必要だと
いうことで、体力が無ければ、時間に
「ゆとり」を持たせて代償しなければ
ならないわけです。

一方で、人の身体には、環境の変化に
柔軟に対応しようとする能力がありま
すので、身体負荷が大きい環境に適応
すれば、身体には新しい「体力」が
つくことになります。
そして、体力をつけるためには、
毎日の「有事」の代わりに「運動」
刺激という「疑有事」状態を作る
必要があるということなのです。

さて、この運動刺激は、どこまでも
無限に負荷を加え続けられるもの
なのでしょうか。
これは体力の質に個人差があるので
難しい問題ですが、少なくとも身体に
刺激(負荷)が加わったら、それに適応
するまである一定の時間が必要ですし
その刺激が身体にダメージを与える前
に休養し、回復を図る必要があります。

また、体力向上=筋力向上という意識
で「きつい=酸欠状態」負荷をかける
ことの影響は、個人差があるので一概
には言えませんが、運動している筋
への「正の効果」だけでなく、全身の
細胞の何処かに「負の影響」が生じる
可能性を考えておこなわなければ
なりません。
過負荷overloadによる「使い過ぎ
overuse」は、全身体力を構成する
各部・細胞・組織の中で、一番
「弱い」部位から疲労し、疲弊して
いくという事です。
養生をしない道具の老朽化と同じ
でしょうか。

体力強化を考えるなら、身体の諸機能
の中で、一番「機能体力」の低い項目、
低い部位に焦点を当てて負荷を加える
必要があるかと思っています。
健康の三原則は運動と栄養と休養(特に
睡眠)、それに自分の身体の機能の
バランスも考えてトレーニングする
ためには、自分の弱点がどこかを
自覚することが大切かと。
私は常に、最小限の体力で、最大能力
を発揮するべく省エネ活動をしながら、
時々、私なりの筋トレをしております。

では、また来月。

<ご意見をおきかせ下さい>
竹内先生へのご意見・ご感想、コラムで感じたこと、
先生にお聞きしたいことなどもお送りください。

┏▼宛先は、
mag_3b@3bs.jp
まで。お待ちしてます!

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筋膜、スポーツに関わるすべての方へ

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今回の「先生のコラム」でも
触れられていますが、
竹内京子先生監訳による
Ph.D. Schleip Robert 編著、
~Fascia in Sport and Movement~
完全翻訳版がまもなく完成!

「スポーツと運動の筋膜」

筋膜の最新理論からスポーツ動作への
応用までを網羅、コラムで御馴染み
竹内先生とお仲間の先生方によって、
わかりやすい言葉で記述されています。

学校でも教わらなくなった本来の
意味での「運動学」や「体育学」を、
スポーツやケアに関わる筋膜の
上級者は、この本からどのように
組織・細胞レベルで感じ取り、今後
どう応用していくのでしょうか。

近日発売予定! 只今、予約特価受付中!
詳しくは下記サイトをご覧ください

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3. 月刊学会情報
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3月出展予定

・日本解剖学会 第124回日本解剖学会全国学術集会・総会
期間:2019/3/27~2019/3/29
場所:新潟県・朱鷺メッセ

人気の解剖模型、プレパラートなどを展示します!

<日本解剖学会ご参加の方へ>
学会期間中、弊社展示ブースにお越しください!
読者の方に特別に弊社解剖クリアファイルを
5枚プレゼントいたします!

ご希望の方は展示担当者に「メルマガ読者」とお伝え下さい。

4月出展予定

・日本産科婦人科学会 第71回日本産科婦人科学会学術講演会
期間:2019/4/12~2019/4/14
場所:愛知県・名古屋国際会議場

弊社(日本スリービー・サイエンティフィック)は
上記学会・展示会に出展予定です。 是非この機会にお越しくださいませ。

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2019/4/4~2019/4/6
日本感染症学会 第93回日本感染症学会総会・学術講演会
愛知県・名古屋国際会議場

2019/4/5~2019/4/6
中部日本整形外科災害外科学会 第132回中部日本整形外科災害外科学会・学術集会
三重県・三重県総合文化センター

2019/4/11~2019/4/14
日本放射線技術学会 第75回日本放射線技術学会総会学術大会
神奈川県・パシフィコ横浜

2019/4/12~2019/4/14
日本呼吸器学会 第59回日本呼吸器学会学術講演会
東京都・東京国際フォーラム

2019/4/15~2019/4/17
日本リウマチ学会 第63回日本リウマチ学会総会・学術集会
京都府・国立京都国際会館ほか

2019/4/18~2019/4/20
日本外科学会 第119回日本外科学会定期学術集会
大阪府・大阪国際会議場ほか

2019/4/18~2019/4/20
日本脊椎脊髄病学会 第48回日本脊椎脊髄病学会学術集会
神奈川県・パシフィコ横浜

2019/4/18~2019/4/19
日本手外科学会 第62回日本手外科学会学術集会
北海道・札幌コンベンションセンター

2019/4/18~2019/4/21
日本眼科学会 第123回日本眼科学会総会
東京都・東京国際フォーラム

2019/4/19~2019/4/21
日本小児科学会 第122回日本小児科学会学術集会
石川県・石川県立音楽堂ほか

2019/4/20~2019/4/21
日本臨床皮膚科医会 第35回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会
愛媛県・ANAクラウンプラザホテル松山(旧:松山全日空ホテル)

2019/4/26~2019/4/28
日本内科学会 第116回日本内科学会総会・講演会
愛知県 ポートメッセなごや

2019/4/27~2019/4/29
日本超音波検査学会 第44回日本超音波検査学会学術集会
神奈川県・パシフィコ横浜

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4. 今月の編集後記 by 英司
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2分で・・のメールマガジンで、
近赤外線による光免疫療法に
ついて書いた。

この治療法は日本人医師、小林久隆氏
によって開発された。
小林氏は日本では残念ながら思う
ような研究ができず、米国に渡った。

そこでもすぐに独自の研究に携われ
たわけではなかったが、無事努力が
報われ、光免疫療法の開発に至った。

小林氏はインタビューで、昔の日本は
研究者に研究のための時間が与え
られていなかったと語っている。
大学職員として、学生への教育、
病院勤務アルバイトが必要で、
研究できるのは夕方から深夜。

研究のためにはアメリカに渡らな
ければならなかったそうだ。
(小林氏いわく、現在の日本なら
米国とそれほど違わないとのこと)

結果、この画期的な治療法はアメリカ
発となった。
どこで誰が開発しようと、医学的・
科学的な価値は変わらない。

しかし、光免疫療法はアメリカの
研究機関であるNIHで開発されたので、
知的財産権はアメリカ政府が持っている。

そうなると、私の小さな心では、
日本で十分な研究ができていればな、
と思ってしまう。

小林氏の研究の話から、フラッシュ
メモリの話を思い出す。

スマートフォン、デジタルカメラ、USBメモリ、
パソコンのSSDなど現在のデータ記録に
必須であるフラッシュメモリは日本人、
舛岡富士雄が開発した。

舛岡氏が東芝でフラッシュメモリの
研究を始めた1980年代、「これがあれば
ジョギングしながら音楽が聞ける」
と舛岡氏は話していたらしい。
カセットテープもまだ現役だった時代だ。

そして1987年に試作に成功。
CD・カセットテープ全盛の時代、
生まれるのが早すぎた。
優れているが、それを使う市場が
なかった。

東芝在籍中に発明したのだが、残念
ながら評価されず、研究の場まで
奪われた。
舛岡氏は東芝を去り、東北大学大学院で
研究を続けた。

その後のフラッシュメモリは大ヒット
製品として東芝を支えることとなった
わけだが。

東芝は舛岡氏を追い出しておきながら、
1992年にSamsungに技術供与し、
共同開発を始めた。

こうしてSamsungはフラッシュメモリの
世界シェアNo.1メーカーへと成長する。

舛岡氏は大学退官後も研究者として、
フラッシュメモリの容量増加、などの
研究に携わっている。

舛岡氏が東芝にいて、共同開発が不要だったら、
小林氏が日本で癌治療の研究ができていれば。

そんな風に思ってしまう。