月刊3B 2023年12月vol.221

2023年12月26日 (火曜日)

2023

e Sono 超音波診断シミュレーターどこでも自由にトレーニングができるSaaSプログラム

e Sonoは、クラウド・ベースの超音波診断シミュレーターです。専用機器を使わずに、実際の患者から撮影された精細な超音波画像を簡単に走査することができます。学習者のレベルを問わず、超音波診断のスキルと知識をマスターするための画期的なソリューションです。
プローブのスライド・角度調整・回転、画像の深さやゲインの調節、キャリパーによる距離計測、ポインターの配置、テキストラベルの付加など、実際の超音波機器操作と同様の機能を利用できるので、実用的で没入感のあるインタラクティブなトレーニングが可能です。

詳細はこちら

先生のコラム「時間のものさし」

ことの本質:耳眼平面
(一財)健康教育学研究所 所長 竹内京子先生

耳眼水平とは,生体観察(藤田恒太郎著,1963年9版)の中に定義が書いてありますが,「直立不動の姿勢において,鉛直面に水平投影したもの」です。良い姿勢のためには「頭は耳眼平面が水平になるように固定することが必要である」と記されています。
耳眼水平は,骨学的にはドイツ水平面あるいはフランクフルト水平面と一致しています。耳眼平面は「左右の耳珠点」と「左の眼窩点」とが決定する3点がつくる平面のことで,生体では「左」の眼窩の下縁(眼窩点)と「左右」の外耳孔の上縁(耳珠点)を通る3本の直線が成す三角形の平面が「耳眼平面」になります。
今ではあまり耳にしなくなった,外耳や顔の計測点,耳珠点と眼窩点を探してみてください。
自分の耳では「ここが耳珠です」ときちんと教わらないとよくわからない耳の孔と眼の周りの構造。そこが基準点なのです。
水平面を作るには「3つの点」が必要なので,この左の眼窩の下縁と左右の外耳孔の上縁を結ぶ線が選ばれました。横から見た前後2点の間の線だけだと前後の関係は水平位を保てますが,前あるいは後ろから見たとき,左右の水平の確認はできません。3点になれば,平面を作りやすいことがお分かりになるでしょうか。
そして,左右の眼窩の下縁と左右の外耳孔の上縁の4点を結ぶ四辺形にすると生体では,平面が出来ないのです。ヒトの身体は厳密には左右非対称の位置にあるので,高さも左右で違っています。そのため,地面に水平な平面を作ることが困難なので,3点が採用されています。
では,眼窩の下縁の計測点は何故,左だけなのでしょうか。答えは簡単です。
それは,生体計測では,左右対照的に計測点が存在する場合,つまり左右に同じ名称の部位がある場合(右の肩峰,左の肩峰など),頭部以外の身体諸測度は「右側」を測り,頭部は「左側」を測るのが習慣である,と書かれているのに従っているからなのです。
Martin式計測法が世に出て以来,日本ではMartin式を基準にして多少の修正を加えた「生体計測班制定の計測法」が用いられ,今に至っており,Martin式計測法を踏襲しているからなのです。
学生時代,私は師匠の木村邦彦先生(藤田恒太郎先生の弟子の一人)に,なぜ,頭部(左)と体部(右)で計測する側が違うのですか?と,尋ねたことがありました。
お答えは,「右利き用に作られている計測器は,狭い領域では,相手の左側を図った方が,使いやすいし,数値を読み取りやりやすいからね」の言葉を頂きました。
確かに,意識して,計測をしてみたら,手足,体幹部の計測は,右側でも左側でも問題なく測れるけれど,限られた狭い領域で,方向も変えられない頭顔部の計測は,左側を計測した方が,測りやすい。さらに数値を読み取るのも楽かも,と思ったことを思い出しました。
無理をしないでデータを収集する方が理にかなっている,ということなのでしょう。実際に,左右全部の計測項目を測ろうとしたら一人に掛る計測時間は倍増以上で,被験者も計測者もみんなくたびれてヤル気をなくしたでしょうけど,実際は,この測定法がいまだに続いています。
生体計測(18世紀~)がはじまって以来,標準の計測器(Martinマルチン式)が定められ,頭部は左側を計測する,それ以外は右側という約束を最近は気にしない方も出てきているようで時代の流れを感じます。さすがに厚生労働省が出している図は,顔が左側を計測していて,これが削除されていなかったのは喜ばしい限りでした。
ここまで読んでくださった,読者の方,正しく耳眼水平位をイメージできましたでしょうか。
次回は,「耳眼水平位」が,「良い姿勢」を取るために役立つということに触れて見ようと思います。

では,また来年! 良いお年をお迎えください。

編集後記

娘がブラスバンドに入って半年以上が経ちました。
楽譜も読めない状態で大丈夫だろうかと心配していましたが、今では譜読みもさくさくでき、綺麗な音も出せるようになりました。
コロナ禍を過ぎ演奏会の依頼が次々とはいり、今では月に2度ほど演奏会をしています。
その時に大変なのが楽器の運搬。
とにかくパーカッションパートの楽器の数が多く、それを毎回梱包し搬入搬出します。
運搬は保護者のお仕事なので今年の夏はどれだけ汗をかいたか分かりません。
そんな活動が実を結び、新潟のりゅーとぴあで演奏する機会を頂いたりと活動に幅が出てきてました。
演奏を通して成長を間近で感じられることができ、ブラスバンドを始めて良かったと心から思います。

By オリ