磁場中を動くコイルの誘導起電力

磁場中を動くコイルの誘導起電力

実験番号:UE3040200

磁束の時間変化により閉じた導体が作るループには起電力が発生するというファラデー の電磁誘導の法則を,コイルが磁場中を移動する速度やコイル巻き数を変えて測定し検証します。磁束の時間変化が正のときと負のときでは起電力の符号が異なることも確認し ます。

実験の手順

  • 磁場中のコイルが移動する速度を変えて誘導起電力を測定し,誘導起電力と速度の関係をグラフにします。
  • コイルの速度を一定にして巻数を変えて誘導起電力を測定し誘導起電力と巻数の関係をグラフにします。
  • コイルが磁場に入っていくときと出ていくときの誘導起電力のの符号を記録します。
  • コイルが移動する向きを変えたときの誘導起電力と,上の場合の誘導起電力の違いを確認します。

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基本原理

本ファラデーの電磁誘導の法則は,閉じた導体が作るループ内の磁束が時間変化するときに,その変化を妨げる方向に磁束を発生させる起電力が発生する,というものです。起電力をU,磁束をΦとすると,次の式で表されます。

(1) \( U=-\frac{d \Phi}{d t} \)

本実験では磁石が作る磁束密度は変化しませんが,コイルが磁石付きプレート上へ進んでいくときと出ていくときで,コイルを貫く磁束が時間変化します。これにより,コイ ルに誘導起電力が発生します。

本実験器ではコイルはフレームに取り付けられ,フレームは実験器に供給する外部電源で駆動するベルトコンベアで一定速度で動きます。また,コイル付きフレームの移動方向は,実験器本体の切り替えスイッチで反転可能です。

図1 のようにコイル付きフレームが磁石がつくる磁場中に進んでいくと,コイルを貫く磁束が時間変化します。コイル付きフレームが磁石付きプレートに入り込んだ距離をb,コイル付きフレームが進む速度v とすると,コイルを貫く磁束Φと磁束の時間変化は次のようになります。

\( \Phi=Bab \)

よって式(1) から誘導起電力U は次のように速度の大きさに比例することが分かります。

(2)\( \frac{d \Phi}{d t}=Ba\frac{d b}{d t}= Bav \)

また,コイルの巻数がN 回巻きのときは各ループ毎に式(2) の誘導起電力が発生し,それらが直列に接続されていることから,次のように書けます。

\( U=-N \frac{d \Phi}{d t}=- N Bav \)

コイル付きフレームは磁石付きプレートより小さいので,コイルが磁場中に完全に入っている状態が続いてから,磁場より離れていきます。磁場中に完全に入っている状態では,コイルが移動してもコイルを貫く磁束に変化はないため,誘導起電力は発生しません。

磁場から離れていくときにはコイルを貫く磁束が減っていくので,コイル長をL としたとき,次のように極性が反転した誘導起電力が発生します(コイルがN 回巻の場合)。

\( \Phi=Ba(L-b) \)

\( \frac{d \Phi}{d t}=-Bav \)

\( U=-N(-Bav)=NBav \)

実験器本体の切り替えスイッチでコイルの移動方向が反転し,上で測定した誘導起電力の時間変化が反転します。コイルの移動速度は,あらかじめ決めた進んだ距離とかかった時間をストップウォッチで測定し求めます。モーター駆動のベルトコンベアなので,電圧調整で任意に設定することができます。(図2 参照)

参考資料

 

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